日本の株式市場の動向見込み
2015年度のGPIF運用損失が5.3兆円とでてきました。2015年の株価でこの損失ですので、今年度以降、さらに厳しい損失が見込まれます。
その日本の株価、今後のトレンドを大きく見たてるのに必要な情報があります。
日本の株式市場の動向見込み
「海外投資家の売買動向」です。日本の株式の約6割は海外投資家が購入していると言われ、その動向次第で株価は大きく左右されます。
海外投資家の日本株売買実績
2010年からの海外投資家と国内投資家(法人と個人合計)の日本株売買実績が下記。
2013年、海外投資家が買い越し、国内投資家は売り越す、という真逆の売買ののち、2015年は海外投資家も買っていません。よって、株価はこれ以上上がらず、という状況でした
これをさらに2016年6月までをみてみると下記。
2016年は逆転。海外投資家は売りに走り、国内投資家が買っている状況。
さらに、ここに株価(年平均)を加えると下記。
2013年の株価上昇はまさに海外投資家によるもの。その後上がったのにつられて国内投資家が買い始めるも、海外投資家は売り抜けていっています。
まとめ
①日本株の価格は約6割を占める海外投資家に左右される。
②2013年をピークに海外投資家は日本株を買っていない。2016年は売り越しており、今後さらに下落トレンドの見込み。
こぼれ話
GPIFの2015年度運用損失が5.3兆円。しかし、今回のデータを見ればわかる通り、今後、そんなものでは済みません。
年金を株に突っ込んだのがいけない、年金は安全資産で運営を、という議論がされておりますが、本質はそこではなく、突っ込んだタイミングと突っ込み方が最悪、ということだと思います。
GPIFが購入する、という思惑にのって2013年、海外投資家が買いまくっており、株価が上がったところでGPIFが実際に購入。
また、本来「ドル・コスト平均法」で時間をかけて積み増していくものを、短期間で一気に購入してしまいました。
結果、GPIFは高値掴みのうえ、手放せば、日本株価は大幅下落で身動きできず。今後大きな含み損を抱えたまま運用することになります。
一方、増え続ける年金支払いのために、積立金を取り崩していますので、いずれ株を売却する必要性がでてきます。その際に大きな含み損が運用損失としてでたとき、誰が責任とるのでしょうか。
この政策を支持した当時の政治家、有権者、ということになりますが、何も関与できなかった子供たちにツケを回している、ということは強く意識したいと思います。
マンションの買い時判断指標
人生最大の買い物、不動産。
この数年、日本の都心部の不動産価格は上昇を続け、マイナス金利も相まって一層過熱してきています。一方、バブルの記憶がある日本人には、いつかは弾けるのでは?と疑心暗鬼になりながら、不動産の買い時判断に迷われていると思います。
いつ買えばよいのでしょうか?
高値掴みしないように、参考になる指標が3つ。
マンションの買い時判断指標
①契約率
②価格
③販売戸数
もう少し詳しく見ていきましょう。
①契約率
新規に販売されたマンションの戸数のうち、どのぐらいが契約されたか、という指標です。好調であれば完売、高い契約率になりますが、鈍ってくると下落トレンドに入った、とみてとれます。
契約率の目安:
好調の目安は70%。
60%を切るとだいたい底。
2016年6月の数字は69.6%。まだまだ好調に見えますが、下記を見ると大きなトレンドとしては下落傾向に入ってきているとみてとれます。
※引用:株式会社不動産研究所
②価格
新規マンションの価格も大きなトレンドをつかむと現在地がわかります。下記をみるとここ数年右肩上がりできていますが、直近数カ月では高値で踊り場にきています。
※株式会社不動産研究所
これだけでは、この先また上がるかもしれないし分かりません。上がるのか、下がるのか。それを推察するための最後の指標が次。
③発売戸数
新築マンションの販売量=供給量のトレンドがどうなのか、を見るための指標です。需要があれば当然供給は増えていきますが、需要が細ると不動産業界が見ていれば、戸数は減っていきます。
※株式会社不動産研究所
12月のように年末は例年盛り上がりを見せますが、大きなトレンドとしては発売戸数は減ってきている、とみることができます。
契約率と発売戸数は下がっているのに、価格は高値踊り場。これは価格を高値維持するために、発売戸数を絞ってきていると見ることができます。よって、この先価格も下がってくると推察されます。
まとめ
①マンションの買い時判断には「契約率」、「価格」、「発売戸数」の3つを見る。
契約率の目安は70%以上が好調、60%が底。
②現在は、契約率、発売戸数が減少トレンド=需要減で、価格は高値維持。
③よって、今後値下がり可能性大。
こぼれ話
不動産業界は当然のことながら少しでも高い価格で売りたいものです。そのために契約数を水増して契約率を上げたり、発売戸数を確実に契約できる数だけを発売し、「第一期発売戸数」として供給するといった手法がとられることもあります。
「第一期分譲即日完売!」というあおり文句は、一見人気があるように見えますが、実は販売に苦労している、という証左の場合もあります。
とはいえ、いくら水増ししようと大きなトレンドを変えることまではできません。今は海外投資家や相続税対策といった投資家による過熱感も強く、実際に住みたい人が買うには少々バブル感が強いように思えます。
今後、10兆円規模の財政出動やオリンピック景気を期待する向きもあり、まだまだ不動産価値が上がるとみると考えることもできます。またインフレ対策、リスク管理として不動産購入という選択肢もあると思います。この辺は少子化、高齢化問題やハイパーインフレリスク等の社会問題と合わせて別枠でまとめたいと思いますが、不動産価格に関していえば、2015年12月がピークだったと後から言われる可能性が高いと思います。
世界経済、日本経済を左右する2つの最重要指標
「アメリカがくしゃみをすれば、日本は風邪をひく」。
戦後の日本経済を象徴する言葉ですが、結局は未だに日本の経済はアメリカ次第なのは変わらないように思います。
アメリカで起こったことが、日本経済に大きな影響をあたえる。
であるなら、アメリカ経済の動向を見張る必要がありますが、何を見れば良いのでしょうか。
ということで、最重要指標を2つ。数あるアメリカの経済指標の中でもまずこの2つを抑えておけば、流れが見えてきます。
世界経済、日本経済を左右するアメリカ経済の最重要指標
①非農業部門の雇用統計
②中古住宅販売数
もう少し詳しく見ていきましょう。
①非農業部門の雇用統計
最重要の経済指標とも呼ばれており、実際、金融政策、経済政策変更のきっかけになることが多い最優先で抑えるべき指標です。
アメリカの雇用統計が重要な理由:
アメリカ企業は業績が悪化するとすぐに従業員の首を切るため、経済の動向を先行把握する指標として世界中から見られています。またアメリカのGDPは、個人消費が7割を占めるため、労働環境が悪化するとアメリカ国内の消費はあっというまに冷え込んでしまうと見られているためです。
2016年5月にも市場の予想値を大きく下回る雇用統計だっため、アメリカ経済の先行き不安が懸念され、株価下落、円高加速につながりました。また、利上げ延期もこの指標を大きな理由の一つにしていました。
発表時期:
毎月第1金曜日
(夏時間:日本時間午後9時半、冬時間:日本時間午後10時半)
②中古住宅販売数
非農業部門の雇用統計と並んで重要なのが、中古住宅販売数です。特にサブプライム問題との絡みもあり、重要度が増した指標です。
アメリカの中古住宅販売数が重要な理由:
日本でも同じですが、取引価格の高い住宅販売数が伸びれば、景気が回復もしくは良くなってきていると判断されます。ただ、日本と異なり、アメリカでは住宅の取引の9割を中古住宅が占めるため、新築ではなく、中古住宅販売数が重要視されています。また雇用統計に比べて数カ月単位の先行性があるとされ、毎月の発表が注視されています。
発表時期
毎月25日
(夏時間:日本時間午後11時、冬時間:日本時間午後12時)
こぼれ話
ちなみに、2015年の米国の持ち家比率は50年ぶりの低水準63.4%に落ち込んでいます。中古住宅販売数は右肩上がりですが、これはどういうことでしょうか。
アメリカでは労働賃金があまり伸びていない中で雇用の拡大が続いています。その結果、景気の悪化や賃金下落により、持ち家を手放し賃貸アパートへの引っ越しが相次いでいます。
FRBが低金利を継続しても、住宅の買い手は投資家ばかり。一方、所得不足や学生ローンの返済、金融危機による価値観の変化などにより、初めて住宅を買う一次取得者は減少の一途をたどっている状況です。
人口は増えているが若い世代での持ち家比率の低下が著しくなってきています。このまま進めば、国内消費がGDPの7割を占めるだけに、アメリカ経済は大きな岐路に立たされると思います。いや、もう立たされているからこそドル安志向へ転換していっているとも思われます。翻って日本は・・・。ここはまたどこかで書きたいと思います。
まとめ
①「非農業部門の雇用統計」の毎月の発表が世界経済を動かしている。
毎月第一金曜日は要チェック。
【米国】雇用統計 - 経済指標 - Yahoo!ファイナンス
②「中古住宅販売数」は、「雇用統計」より数カ月の先行性がある。
毎月25日は要チェック。